2018-05-18 誰もいない 廃墟の一室に満ちている切り取られた空間の季節本棚から一冊の本を取り出して無人の駅で電車を待つ読みかけの小説が長く続くからいつまでも帰れない駅前のロータリイで待つ犬も伐採された桜の根元に横たわって夜の街打ち上げた火球が降り注ぐから傘が手放せなくなる照らされた影が俯きゆく僕ら空を見上げることもなく感ぜられるのは音の響き肌にまとわりつくこの季節が街をぶくぶくと膨張させ夜が明けることはなくネオンの光が喧騒を照らすそこが街の中心だとでも言わんばかりに